派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~

 死にますっ、死にますっ、とわめくと、
「和博はその課長代理に会ったことがあるのか?」
と訊いてきた。

「ないはずですが。
 そういえば、さっき、妙なことを言ってましたね」

『こいつは、あの課長代理より、諦め悪いかな?』

「ちょっと私とのことを疑ってる風ではありましたが、まさか、本人になにか言いに行ってたとか?」
と苦笑いして言う。

「蓮は俺と婚約してるんだから、諦めろとか言いそうだな」

 ああ、と蓮は苦笑いする。

 そういう騒動があったから、今回の渚とのことは、和博にあまり伝わっていないのかな、と思った。

 今度は、他所の社長に向かって喧嘩を吹っかけたりしたら困るから、和博の周りの人間が詳しくは教えていないのだろう。

「てことは、お前、お前の嫉妬深い従兄弟も疑うくらいには仲よかったってことだろ、その課長代理と」
とまた首を絞めてくる。

 蓮は、その腕をはたいて、言い返した。

「関係ないですよ。
 渚さんの方が百万倍格好いいし」

 そう言い切ると、さすがの渚も黙った。