派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~

「まあ、人はそう言いますね」

「俺とどっちが?」

 だから、自分で自分をイケメン枠に入れるなと言うのに、と思いながらも、
「そりゃ渚さんですよ」
と迷いなく言う。

 100%渚の方が格好いい、と自分では思っていた。

 未来辺りに言うと、ケッとか言われそうだが。

「……もしかして、会社を辞めるきっかけになった、ビールをかけた上司って言うのは」

「その課長代理です」

 揉み手をして笑ってみせたが、まだ、なにも説明していないのに、そこにあったお盆で頭をはたかれた。

「なんでですかーっ」
と頭を押さえて叫ぶ。

「お前、絶対、その男となんかあったろーっ」

「なにもありませんよっ。
 貴方以外の人となにもなかったのは、貴方が一番よくご存知でしょうっ?」
と言ってやったのだが、

「キスくらいはしてても、わからないだろうがっ」
と言ってくる。

「……ま、まあ、それはそうですが」
と苦笑いして、言いよどむ。