駐車場で手を離すと、首が絞まっていたらしい奏汰は咳き込んだ。

「なんなんですか、もう~っ。
 窒息するかと思いましたよー」
と言ってくる奏汰を冷ややかに見、

「いやいやいや。
 殺してもいいかな、とは思ってるよ。

 君、秋津さんにちょっかいかけてるだろ?」
と言うと、ぎくりとした顔をしていた。

 ちょっかいとか、と笑う。

「その、もうフラれましたから。
 ……今、他の女の子を絶賛お勧めされてます」
とガックリと項垂れるので、さすがにちょっと同情してしまった。

「人でなしだね、あの人、ほんとに」

 たぶん、奏汰の気持ちもよくわかっていないのではないかと思う。

 渚が本気なことにも、なかなか気づかなかったようだから。

 前の会社でのトラブルってそれでじゃないだろうな、とちょっと思った。

「秋津さんをなにか困らせてるみたいだけど、なんだったの?」
と問うと、

「それ調べるの、社長の指示ですか?」
と訊いてくる。