派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~

「披露宴はそのうちやらないとまずいかもしれないが、式は誰も呼ぶつもりはない。

 まあ、徳田と……享は呼ぶか」

「浦島さんは?」

 じゃあ、浦島も、と言う。

「お前の親も来たいと言えば、来ていいぞ」

 そんな言い方をする。

 あれっ? と思ったが、今はなにも追求したくはなかった。

 側に居る渚の肩に少し頭を寄せる。

「……どうかしたのか?」

「どうもしません」

 いけませんか? とこちらを見た渚を見上げた。

 ……いや、と言い、パンフレットを置いた渚の手が肩に触れ、そのまま唇を重ねてくる。

 そのままソファに押し付けるようにしてきた渚の額に手をやる。

「今日はパスです。
 疲れてるんで」

「大丈夫だ」
と言った渚は、蓮の胸に、ソファの下にあった大きなクマのぬいぐるみを押し付けてくる。

「それ抱いて、目を閉じて、じっとしてろ。
 その間に終わるから」

「……どんな人でなしですか」