今日、暇? とか軽く訊けなかったな。

 そんなことを思いながら、脇田は一人、夕食を買いに、あのコンビニに来ていた。

 食事に誘うくらいよかったのでは。

 蓮は気晴らしに付き合ってくれると言っていたし。

 いやでも、渚がすぐに来るよな。

 今は専務と話してて、引き止められてるみたいだけど、などと考えていた脇田は、向かいの通りのビルの下に蓮が居るのに気がついた。

 かなり離れているのに、すぐにわかってしまった自分をちょっと恥じる。

 あれ、隣の男。

 石井奏汰だ。

 仕事ではあまり接点はないが、目立つので、よく覚えている。

 どうも蓮と食事をして、出てきたところのようだった。

 僕も誘えなかったのに、と思いながら、待てよ、他の人も一緒かも、と思って見ていたが、他には誰も出ては来なかった。

 蓮は奏汰と別れ、マンションに向かい歩いていく。

 なんとなくこっそりあとをついていきながら、なんだかストーカーみたいだぞ、と自分で思っていた。

 蓮はマンションに入ろうとしている。

 これ以上ついて行ったら、完全にヤバい人だ、と思い、
「秋津さん」
と声をかけた。