「なになになにっ。
 返事なにっ?」
と秘書室前のソファで蓮のスマホに両脇から、真知子と葉子が群がる。

 脇田も居ないので、全員で秘書室を離れるわけにも行かず、交代でご飯を食べたあと、秘書室前のソファでみんなで缶コーヒーを飲んでいた。

 奏汰も居る。

 奏汰は、ソファに座る女性陣の前に立ち、苦笑いして、その様を眺めていた。

「俺は天ざる、ハートってなにっ?」

「社長っ、そこは、ハートマークおかしいっ」

「天ざるに愛があるみたいですよねっ」
と真知子が言う。

 普段はタイプ的に合わないらしい、真知子と葉子が盛り上がっている。

 蓮は、そのままスマホをしまおうとして、
「えーっ。
 もう打ち返さないのー?」
と真知子に言われた。

「いや、だって、仕事で出てるのに」

 やだーっ、つまらないーと女性陣二人にわめかれ、蓮は缶を捨てるふりして、立ち上がる。

 奏汰の後ろにあるゴミ箱に缶を入れると、奏汰が、いろんな意味を含んだように、
「お疲れ」
と言ってきた。