「いいじゃないか。
 業務連絡で終わらなかったんだから。

 早く食べろよ、時間ないぞ」
と言うと、頬杖をつき、うーん、と唸ったあとで、なにか打ち返していた。

 送信する前に声に出して言う。

「俺は天ざる。はーと」

「……はーと、いらなくないか? その文章」

 天ざるに愛を感じてるみたいだぞ、と言う。

「なんでもつけりゃいいってもんじゃないだろう」
と言ったが、渚はまだ唸っている。

 仕事でもこんなに難しい顔をしているのは見たことがない。

 それを微笑ましく思っている自分が居る。

 だが、今すぐ、スマホを取り上げて、消去してやりたいと思っている自分も居る。

 難しいもんだな、と思っていた。

 ずっと一緒に居るから、好みまで似てきてしまったのだろうか。

 そういえば、天ざるも一緒だし、と思ったあとで、天ざると同じ扱いにしたら、秋津さん、怒るだろうな、と想像し、少し笑った。

 そんなこちらの顔をチラとスマホの上から見て、渚が言う。