でも、思ったのだ。

 ガンガン来るのは渚の方だが、自分もかなり渚のことが好きなんじゃないかと。

 今まで誰とも踏み出せなかった一歩が渚とは踏み出せた。

 彼だけが強引だったわけでもないのに。

「うん。
 そうですね。

 やっぱり、私、渚さんが好きなのかもしれないですね」
と腕を組んで、再確認するように呟くと、ええっ? まず、そこからっ? と葉子が言う。

 スマホと渚の書き残していったアドレスを見ながら、でも、送る言葉は思いつかないから、社食のメニューでも送るか、と思っていた。