派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~

 




 真知子と少し話して、郵便局から戻ると、もう脇田と渚はいつも通りだった。

 仕事しながら、そちらを見、鉄壁の信頼関係だな、と思う。

「浦島、ちょっと出てくるから」

 渚は葉子にそう言ったあとで、こちらに来て言った。

「蓮、メールアドレスを教えろ」

「はい?」

「そういえば、知らなかったんだよな。

 おい、昼までに一回は送ってこいよ。
 俺は昼過ぎまで帰らないから」

「……と言われても、特に送る内容もないんですけど」

 今、こうやってしゃべってるし、昼過ぎたらまた会うのに、特にメールでまで送ることなんてないんだが、と思ったのだが、
「いいから、送れ」
と自分のアドレスを書き付けて置いていく。

「行くぞ、脇田」

 苦笑した脇田が、はい、と渚について行った。

 大変だね、という顔でこちらを見て。

 閉まったドアを見ながら、困っていると、葉子が言ってきた。

「なんていうか、やっぱり、社長の方がメロメロなのね」

 いや、メロメロって……。

「……そうでもないですよ」
と言うと、え? と見る。