派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~

 



 夕方、真知子と晩ご飯を食べに行ったあとで、街をぶらぶらしていた。

「そうだ。
 今日、卵が安いのよ」
と真知子はドラッグストアに寄る。

「ドラッグストアで卵とか意味不明ですけど。
 最近、いろんなもの置いてますよね」
とついていった蓮も買うことにした。

 なんとなく棚を眺めるが、ドラッグストアは危険だ。

 気をついたら、お掃除グッズを買ったり、あれもなかった、これもなかった、と気がついたりして、レジに行くたび、一万円くらい払ってしまう。

 二人で、美容グッズを眺めたりしながら、とめどないおしゃべりをしていたが、ふと思いつき、
「そういえば、進展しましたか?
 石井さんと」
と訊いてみた。

「あ、ちょっとご飯食べに行ったりしたんだけど……」
とそこで、真知子は言い淀む。

「いや、でも、……もうちょっと、今のままがいいかなーと思ったり」

「えっ。
 意外ですねっ」
と言うと、なによ、それ、と真知子は眉をひそめる。