「日曜は、お前をお姫様扱いしてやる」

 いやあの、そんなことでは、なびきませんが、と思ったのだが、言って聞くような男ではないので、はいはい、と答えた。

「お前がいいと言うまで手は出さない。
 だから、俺がお前を好きだと言うのを信じろ。

 帰る」

 さっさとリビングから出て行く渚に、ほんとに行動早いな、と思いながら、玄関まで見送った。

 だが、渚はノブに手をかけたあとで、振り返り、
「キスまではもうしていいんだったっけな」
と言ってくる。

 いや、誰がいいと言った? と思っている間に、蓮の後ろの壁に手をつき、キスしてきた。

 いや、あの……長いんですけど……と思っていると、離れた渚が囁いてくる。

「やっぱ、さっきの撤回していいか?」

「さっきのって?」

「お前がいいと言うまで手は出さないって奴だ」

 今、言ったんじゃないですか、と笑ってしまう。

「前言撤回早すぎですよ……」