顔を背けて、そう言った瞬間、渚は蓮を抱き上げ、膝に乗せた。

「なにするんですかーっ」

「今、仕事中じゃないからいいかと思って」

 よくないっ。

 渚はすぐに下ろしてくれた。

 いや、下ろしたというより、ソファに寝かせたというか。

 渚は、蓮の顔の横に手をつき、見下ろして訊く。

「蓮。
 出会って、何日経った?」

「え、えーと、三、四日じゃないですか?」
と少なめに言ってみたが、

「じゃあ、もういいだろう」
と言い、胸許のボタンに手をかけてくる。

「なにも良くないですよ!?」

 どんだけ気が短いんだ、この人は、と思った。

「じゃあ、キスしてもいいか」

「……駄目ですよ」

 渚はそこで笑って、鞄の中から、小さな薔薇の花束を出してきた。

 えっ、と思っていると、
「コンビニのおばちゃんが仕入れといてくれたんだ」
と言う。