だいたい、一目見た瞬間に、子供を産めと言ってくるとか、ケモノに近い気がするのだが。

 ケモノというか、ケダモノか?

 でもまあ……とお茶を淹れながら蓮は思う。

 なんだかんだ言いながら、この人、乱暴なことはしないな、と。

 言うことは乱暴だが。

「って、来た瞬間に寝ないでくださいよっ」
とキッチンから、ソファで寝ている渚に言ってみたが、返事がない。

 もう~。
 疲れてるからしょうがないのかもしれないけど。

 一度寝たら起きないんだから。
 また徳田さんに言い訳するの嫌だなあ、と思いながら、沸かしかけたお湯を止めて、自室に入り、毛布を取ってきた。

 そっとかけてやっていると、目の端に、薄目を開けている渚が見えた。

「あっ、起きてるじゃないですかっ」
と咎めると、

「いやいや。
 ちょっと弱ってる方がやさしくしてくれるから」
となかなか計算高いことを言ってくる。

 もう~、とソファの前のラグに腰を落とすと、渚は寝たまま笑い、

「お前にちょっとでもやさしくして欲しいから、寝たフリまでするとか、健気だろ」
と言ってきた。

「いやまあ……自分で言わなければそうかもしれませんけどね」