その夜、予告通り、チャイムが連打された。
気が短いなー、相変わらず、と思いながら、ドアを開けると、
「開けるのが早いぞ」
と何故か怒られる。
「ちゃんと確認してから開けろ」
「しましたよー。
っていうか、貴方くらいしか来ないじゃないですか、こんな時間に」
と言うと、
「わからないだろ。
変質者とか、脇田とか来るかもしれないだろ」
と言う。
「あのー、お友達の脇田さんを変質者と同じくくりに入れるのはどうでしょう?」
と言ってみたのだが、渚は靴を脱いで上がりながら、
「だって、あいつ、お前のこと好きだろ」
と言ってくる。
笑ってしまった。
「あんなきちんとした人が私のことなんか好きになるわけないじゃないですか」
「待て」
と先にリビングに入ろうとした肩をつかまれる。
「それは俺がきちんとしてないという意味か」
いや、きちんとしてないとは言わないが。
脇田と比べると、勘と野生で動いてる部分が大きいというか。



