「俺が疲れて帰ってくるだろ。
 でも、寝室のドアを開けたら、遊び疲れたお前が、気持ちよさそうに寝てるんだ」

「いや……なに微妙に、私をディスってるんですか」

 なんで私は遊び疲れてるんだ? と思ったが、渚は、
「別にいい。
 俺が働いた金で、お前が遊び惚けてても。

 俺が帰ってきたとき、お前が楽しそうにしてて、機嫌よく迎えてくれたら」
と言ってくる。

 なにかこう……もうちょっといい設定にならないのだろうか。

 もう少しはマシな奥さんになれそうな気がするのだが。

「俺は今まで、自分と会社のためだけに働いてた。
 まあ、それもよかったんだが。

 金は特に使い道もなかったし。
 その金を使って、お前が楽しく過ごせるのなら、お前のために働いてるって感じがしていいかな、とも思うし」

「いやいやいや。
 待ってくださいよ。

 私はお金もらってれば幸せとか思いませんよ。

 そんな毎晩、旦那さんとすれ違いとか嫌ですからね」

「……出来るだけ早く帰るようにするよ」
と渚が見つめてくる。

 おや?
 おかしいな。

 結婚することで話が進んでいる。