おかしな人には会わなかった、と蓮は言ったが、真知子たちには会った。
あまり時間はなかったが、久し振りに会った気がして、話が弾んだ。
よく考えれば、そんな何日も離れてないよな、と思う。
「そういえば、あんたの携帯の番号、知らなかったわ。
教えなさいよ」
と真知子に言われ、そういえば、会社でいつも会えるからわざわざ聞こうと思わなかったな、と気づく。
じゃあ、今度、ご飯でも、と約束して、真知子とは別れた。
秘書に戻ってしばらくすると、
「蓮ちゃん、社長にお茶~」
とパソコンから顔を上げずに、葉子が言ってきた。
はーい、と立ち上がり、お茶を用意して、社長室のドアをノックする。
脇田は外に出ていて居なかった。



