派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~

 は、早く取らねば、徳田さんに、渚さんに連絡もさせない、だらしのない女だと思われる~っ。

 四つん這いになり、動けないまま、何故だか、渚の両親ではなく、徳田のことを心配していた。

 そのとき、後ろから声がした。

「なにやってるんだ? 蓮」

 渚が起きたようだった。

「……その挑発的なポーズは、グラビアアイドルかなにかのつもりか?」

「なに呑……っ
 気なことっ。

 死にそうっ、なんですっ!」

 この苦しみ、涼しげな顔で立っているお前にはわかるまい~っ、と思っていると、

「そうか。
 救急車を呼ぼうか」
と言ってくる。

 阿呆かーっ。

 渚は既に止まっていたスマホを取ると着信を確認し、かけ直していた。

「もしもし、徳田か。
 蓮のところだ。

 大丈夫だ。
 今、此処で足が痺れて悶絶している蓮が正気に戻ったら帰る」

 わかってるんじゃないかーっ、と思ったが、ちょうど、切れかけた痺れがピークで声も出せない。