「まだ覚えてたんですか」
と言うと、

「脇田がお前を傷物にしたんだろ?」
と言ってくる。

「傷物にしたのは、蛍光灯ですよ」

「かばうじゃないか」
と言いながら、ひょい、と絆創膏がある方の足首を掴んで持ち上げる。

 後ろにすっ転びそうになった。

「なっ、なにするんですかーっ」

 なんとか両手をついて踏ん張ると、渚は足首をつかみ、
「そうだな。
 たいした傷じゃないな」
と言いながら、マジマジと眺めている。

「だからそう言ったじゃないですかっ」
とめくれないようにスカートを押さえて訴えた。

「っていうか、貴方の態度、相変わらず、愛が感じられませんっ」

 物みたいに、ひょい、と持って、製品を確認するみたいに乙女の足首を眺めるとかどうなんだ、と思う。

「なにを言ってる、愛ならあるぞ」
と言い様、渚は、いきなり、絆創膏の辺りに、唇で触れてきた。

 素足だったので、渚の唇の感触と熱を肌で直接感じる。

 赤くなった蓮は振りほどこうと、
「やっ、やめてくださいっ」
と身をよじり、弾みで、渚の顔を膝で蹴ってしまった。

「てっ」
と渚が口を手で押さえる。