殴ろうかな、浦島……。

 流れに合わせて笑いながらも、脇田はそんなことを思っていた。

『脇田さんには、蓮ちゃんみたいな子の方が合う気がするわ』

 いやいや、手に入らないものを勧められても困る。

 そう思ったとき、ふと蓮の足首が目に入った。

 目立たないタイプの絆創膏が貼ってある。

「まだ治らないの?」
とそこを見ながら訊くと、

「ああ、でも、ちょっと擦っただけですから」
と蓮は笑った。

「脇田さんは大丈夫ですか?」
と問われて、うん、と言う。

 結局、あれが蓮の部屋に行った最初で最後だったなと思う。

 あのあとは、渚が入り浸ってるから。

 忙しいのにご苦労なことだ。

 頼まれれば、蓮が好みそうな花の手配くらいしてやらなくもないのだが。

 プライベートなことなので、向こうから言ってこない限りはするつもりはない。