「やだ、ちょっと録音しときたかったわ、今の。
 宗ちゃんにも言わせたい~っ」

「誰ですか、宗ちゃんって」
と言うと、

「浦島さんの彼氏だよ」
といつから居たのか、戸口に居た脇田が言ってくる。

「なんと、大学生」

「犯罪ですよ!?」

 未来と同じではないか。
 まだ小僧といった感じの子が多いので、落ち着いた葉子とは合わないのではないかと思ったが、そうでもないようだ。

「まー、たまに疲れるんだけどね。
 なにもかもこっちにおんぶに抱っこだから。

 でも、そんな中で、たまに、葉子さん、疲れたら、僕に寄っかかってよとか言われたら、もう、貢いじゃうーって感じなのっ」

「貢いでるんですか?」

 そこでいつものように冷静になって葉子は言った。

「いや、私は将来のために貯蓄してるから。
 彼の方がアルバイトして、食事代とか出してくれてるわ」

 そ、そうなんですか……。

「私、浦島さんの彼氏は、なんとなく、脇田さんみたいな人かと思ってました」
と言うと、何故か、二人は声を合わせて、いやあ、と否定してくる。