派遣社員の秘め事  ~秘めるつもりはないんですが~

 それ、結局、好きって答え以外は、やり直しってことですよね? と思っていると、渚はさっさと帰ろうとする。

「帰るんですか?」
と立ち上がり、訊くと、

「帰る。
 このまま此処に居たら、なにもしないでいる自信がないからな」
と言い、振り返る。

「じゃあな、明日までに考えとけ」

 おやすみ、と言ったときには、もう玄関を出ていた。

 さすが、行動早いな、無駄がないし、と思いながらも、一応、外に出て見送る。

 エレベーターホールに曲がりかけた渚は自分が見送っているのに気づいて、少し足を止めると、笑ったようだった。