「それさ、あたしも学校に監禁された時から感じてた」


「え……?」


「校長や何人かの先生はすぐに逃げたから、もしかして校内に残っている全員が感染してるんじゃないかなって、疑ってたんだ」


「そうだったんだ……?」


「うん。だけど違う。感染者を見ていても、それがわかるでしょ?」


そう言われてあたしは今までの感染者を思い出していた。


駅で青ざめて座り込んでいたり、目の色が真っ赤になったり。


たしかに、今のあたしたちとは全然違う。


「あたしたちはまだ大丈夫だよ」


空音はそう言い、あたしの肩をポンッと叩いた。


普段は少し頼りないと感じていた空音だけれど、今日は逞しく感じられる。


「ありがとう、空音」


あたしは自然にほほ笑むことができた。


「ううん。あたしも、こんな事になってようやく目的が見つけられた」


「目的?」


あたしはそう聞き返した。


「うん。絶対にこの学校から脱出すること。愛莉と、2人で」


しっかりとした口調で、空音はそう言ったのだった。