んんんっ、と伸びをする。
「疲れたのか?」
 と、桜さん。私達は資料作成を終えて帰路に付いていた。
「はい。慣れてないことをしたので」
 え?と桜さんが声を上げる。
「一般の刑事だった時にやってただろう?慣れてないってどういう事?」
 あぁ、と少し前の事を思い出しつつ答えた。
「その、殆ど仕事をさせてくれなかったんです。何故か私だけ」
「そうなのか…」
「23で警部になってからです。ノンキャリアなのに一気に駆け上がったせいでキャリアに嫉妬されたみたいで。それで、全然…」
「にしても、すごいねぇ。美琴ちゃんってノンキャリアだったんだ!」
 零さんが突然話に入って来た。
 資料作成の時は伸びていたのにもう復活したんだ。
「だって、ノンキャリアでそこまで行くのって、普通は30才位だよ?」
「キャリアの奴と同じくらいの速さだもんな」
「とは言っても、零はもっと早かったでしょう?キャリア組ですし」
「えっ。零さんってキャリアだったんですか!?」
 意外すぎるカミングアウトに驚いた。
「そうだよ。で、元公安」
「公安!!」
 と言うことは、この秘密捜査科って公安と警察が合同で作った組織なんだ。
「意外な経歴だろ?こいつ、うざいくらいのエリートなんだ」
「公安って所以外は意外すぎて信じられません…」
「でしょうね。零はこの秘密捜査科の中でもトップクラスのエリートですから」
 ふふっ、と笑う平賀先輩の方がエリートに見えるが、その横で得意げにピースする零さんの方がエリートだと思うともの凄く複雑な気持ちになる。



 「そういえば、今日の夕飯はどうするんだ?」
各々の過去についての話が一段落したとき、桜さんが言った。
「はーい!俺、カレーうどん食べたい!」
「私はカレーライスの方がいいです!」
「なんだよ、みつきぃ。うどんの方がおいしいだろう?」
「いや、カレーにはご飯が一番です!ねぇ、美琴さん?」
「え、えっと…それは…その…」
 その二択だとカレーうどんの方が好きなのだが…。
 言いにくい。
「うどんだよな?美琴ちゃん!」
 え、どうしよう。もの凄く答えにくい。
 どう答えてもどちらかに殺されそう。
「おいおい。落ち着け。そういうのは人それぞれだろう?」
 ナイス!桜さん!と、心の中で叫んだ。
 だが、そんなに甘くなかった。
「でも、はっきりさせたいです」
 あぁぁぁ!なんでそこで粘るんですかぁ!
「ん。まぁ、それもそうか」
 桜さぁぁぁん!納得しないでぇぇぇ!
「で?どっちなの?美琴ちゃん?」
 あぁぁぁぁぁぁ、と心の中で散々叫んだ私の答えは…




「私はご飯よりもうどんよりもカレーはナンの方が好きです!!!」

 よく響いた。