七時をまわった公園は静まりかえっていた。



……誰も…いない

音さえもしない。



木から飛び立つ蝙蝠は声を発さず飛び立った。

「キミは、どこへ行くの?」

答えは返ってこない。

「キミは今、どこにいるの?」

キミは何を思っているの?

キミは本心から僕が迷惑だと考えているなんて思ってたの?

僕はキミのこと、何も知らない。

「高校一年、四組……竹野 優花……」

キミは……キミ…は……

「高校一年の春、音楽室で子犬のワルツを弾く曽川 陽を見つける。
曽川を連弾に誘うが断られてしまう。
それから五カ月曽川に……僕にピアノを弾こうと誘い続けた……」

僕がどんなに嬉しかったかなんて

僕がどんなにキミを想っていたかなんて……

「何も知らない……」

二人とも何も知らなかったんだ……