なぜ、引き留められなかった?

彼女を引き留めることができなかった?

いや……それより……

なぜ僕は彼女とピアノを弾かなかった?

同じ毎日が永遠に続くなんていうこと、あるわけないじゃないか……

急いで鞄を持ち、彼女を追いかけようとするが遅い。

校門を出て辺りを見回そうと彼女はいない。

彼女の家なんて知るわけもなかった。

……もう会えないのか?

五時前だというのに落ちかかっているている夕日が僕を嘲笑うかのように赤く燃えていた。

そうまるで、まったく行動を起こせなかった僕を嘲笑うかのように……