そんなとき、後ろから笑い声が聞こえた。
「ははは。なんだか飼い主とそれを守る犬のようだ」
「…は?」
あ。
やばい。
ハッターが地雷ふんだ。
「アンタ、今犬って言った?」
「はて?言ったかな」
クスクスと笑う彼はとても楽しそうだ。
これは遊んでるな。
「はっ、あんな獣くっさい動物なんかと一緒にしないでよね」
気分を悪くした、とでも言いたげにチェシャは吐き捨てた。
「あー、冷めたわ。いこ、アリス」
そして私の手を取ると歩き出した。
「え、ちょっと待ってよチェシャ。…ごめんなさい、ハッターも三月兎も、ドゥーもまた会いましょう!」
チェシャ猫に手を引かれるままぐんぐん進んで行く。
後ろを振り返ると、3人は手をひらひらとして見送ってくれた。



