あぁどうしようどうしよう。
逃げないと。
「大丈夫だから」
そう言ってパニックを起こしている私の手を掴んだチェシャの手により、私の意識は若干戻ってきた。
「あれ?よく見たら猫もいるね」
「イラナイオマケまでついてきちゃった」
覚めた声で告げる2人を改めて、チェシャの背中に隠れた状態で視界に入れる。
そこには、パッと見、むしろよく見てもソックリな双子。
ディーと呼ばれた青年は、左にたっている方。
チェシャよりは幾分低い身長、青いシャツの上には黒いジャケット、そして赤いネクタイをゆるーく結んでいる。
ジャケットと同色のパンツには銀色のチェーンが2つ。
肩くらいの長めの髪は黒。
そして黒い前髪からは紺色の瞳が覗く。
一方、ダムの方は。
黒いジャケットとパンツに、赤いシャツ、そして青いネクタイ。
パンツのチェーンは金色、髪は黒。
瞳は紅色と、ディーとは似ているけれど細部が違う。
これで服を入れ替えられたらもう瞳の色でしか識別できない。
「あぁ、アリス。僕らのアリス」
「こちらへおいでよ、愛しいアリス」
わぁ、久々会ってなかったから執着がものすごい。
私何故そんなにあなた達に好かれてるの。
いや、殺されかけてるんだから好かれてる訳では無いか?
あぁ、思い出したくもない。
そう、アレは1ヶ月くらい前だったはず。



