暖かな日差しが心地よい午後、暇な私は森の中を散歩していた。





その途中でなんだか眠くなってしまって、手近な木に登り、お昼寝をしていた。




「アリス、アリス。そんな所で寝ては危ないよ」



木の葉がそう囁いてるけれど、どうしてもこの眠気には勝てない。








だいたい、ここに来てから特にしなければいけないこともないし。



そう、私は前に違う世界にいたはず。





そこではやるべき事がたくさんあって。


それに比べ今は暇すぎてどうしようもない。




どうにか帰る方法を探そうとしたけれど、このセカイの動植物はそんなヤツはお前だけだとせせら笑うだけ。




前には、と思ったけれど歴史書にだって書いてない。





もっとも、真面目な歴史書などこのセカイにはなく、あるのは絵や文字が好き勝手に動く全く読ませる気のない本ばかりなのだけれど。






「ふぁぁ〜あ」



盛大にあくびを零すと、遠くで赤の女王が喚いているのが聞こえる。



「さぁ首をはねて……」




どうやらまた誰かの首を切ろうとしてるらしい。




どうせ切れないのだから怒り損ではないか。


私ならほうっとく。










………日差しが暖かい。




このまま眠ってしまおう。



目が覚めたらここではないどこかで。





愛猫がほおずりしてくれていたら幸せだな。







そう思いながら、私………アリスは、目を閉じた。