なるほど、あのヒステリーを見たら確かにストックも作りたくなる。
心から納得していると、チェシャが私の手を引いた。
「そんなこともういーじゃん。白ウサギさんにはあとで持ってくとしてさ、今は遊ぼうよ〜」
雑。
なんだかお母さんに構って欲しくて駄々をこねる子供のようだ。
「チェシャ、遊ぶって言うけど、これからどこに行くのよ」
「ん?適当。というか邪魔されないとこ」
何をだ。
曖昧すぎて何も言えない。
呆気に取られるというか、呆れ返って無になっている私を見て、助け舟を出したのは白ウサギだった。
「邪魔されない、となると、もはや誰もいない所になるんじゃないかな?アリスは人気者だからね」
ニコニコとチェシャにアドバイスをする白を見て、チェシャが子供なら白は落ち着いた父親って感じだなと、ふと思った。
「じゃあ誰もいないとこいくよ」
そして遠まわしの注意を直線で返すな。
今白が遠まわしに邪魔されないのは無理って伝えたはずなんだけどな、あれおかしいなぁ?
「……………苦労するね」
と、白があまり見せない苦笑をもらって、私は無性にチェシャを蹴りたくなった。



