「名前はもう覚えてくれたよね?黒木裕也28歳になる。茜とは丁度一回り違う事になる。」

「28歳?! 嘘、そんなに年上だったの? だってお母さんと4つしか違わないじゃない!」


 優也の職場の女子社員に言わせれば結婚相手には丁度良い年齢だ。しかし、茜にとっては28歳と言うのは母親の年齢に近いだけあって親のような年齢と感じてしまう。そんな世代の人との結婚を強いるのは祖父はあまりにも酷過ぎると悲しくなる。


「確かにそうだね。君の両親は早すぎる結婚をしたからね。でも、世の中では俺の年齢は人生はこれからなんだよ。だから、会長だって俺に期待してこの縁談を進めたのだから。」

「どうしてあなたなの?」

「入社時からかなり優秀な社員だったんだよ、これでも。だから、会長の目にとまり将来後継者となるべく育ててもらったんだ。」

「だから私との結婚なの?」

「・・・・そうだ。」



 優也の答えまでに少しの間があいた。茜はその間は何なのだろうかと思ったものの、きっと、急に持ち出されたこの縁談に戸惑ったからだと感じた。


 戸惑いは茜も同じだったから。茜は戸惑いどころか心臓が止まるかと思える程に驚いた。こんな驚きはもう二度と有り得ないだろうとさえ思えた。