「いや、だって……俺にこんなこと言われてキモイとか思わないでほしいんだけど、なんか、佐々木さん前回話した時より可愛くなってるし……持田の話すると顔赤くなるし」


まさか山野くんにそんなことを指摘されるとは思わず、今でも充分赤いであろう頬が、さらに熱を帯びてく。


(や、やだ……こんな顔したら、肯定してるのとおんなじ……)


俯きながら必死で言い訳を探すけれど、何も思い浮かんでくれない。

盛大に照れながら困り果てる私を見ていた山野くんは、申し訳なさそうな声で謝る。


「ゴメン、そんな困らせる気はなかったんだ。ホントに持田に惚れてたとして、俺に正直に言う必要もないし。……ただ、俺はやっぱ持田には幸せになって欲しいと思っちゃうから……友達としてうれしい反面、こんなのやりきれねぇな、って」


山野くんはそう言うと、思い出したかのように冷めたポテトに手を伸ばし、もやもやとした思いを解消するかのように荒っぽく食べだす。

そしてポテトがなくなると、口に入っていた分もごくりと飲み込み、はあ、と息をつく。


「今やっと結ばれたって……そんなの悲しいだけだろ。いくらアイツの姿形が今でもあるっつったって、やっぱり幽霊なわけだし……いつか成仏していなくなっちゃうわけだろ?」


ずき、と胸に鈍い痛みが走る。

ルカは、本来この世にいるはずのない幽霊……。

そのことを忘れていたわけではないけれど、あえて考えないようにしている自分がいる。

私と同じ、普通の高校生だったならって……最近、そのことばかり思ってしまうんだ。

そんなことを夢見たって、叶うはずはないのに。

ルカの心に触れるたび、いつかいなくなっちゃう存在だなんて、信じたくなくて。