この間と同じ、窓際の席で向かい合うと、今日は「小腹が減ったな」とポテトを注文した彼がそれをつまみながらいろいろと話してくれた。
「まあとにかく最初の頃のアイツは腐ってたね。ホントは佐々木さんの行ってる北高に入りたかったらしーんだけど、受験落ちて、すべてのやる気をなくしたらしい。んで、見かねた親に塾入らされて、それも当然やる気はなかったわけだけど、俺とダチになってからかな、ちょっとは顔に生気宿ってさ」
ルカのことを話す山野くんの表情はとても生き生きして楽しそうで、二人の友情の強さがうかがえた。
それにしても、ルカも北高を受験していたなんて。同じ高校に通っていたら、また違う運命があったのかな。
……なんて、かなわないこと考えるのはやめよう。余計、切なくなる。
勝手に想像して勝手に落ち込む自分がむなしくて、ストローでコーラをすする。
「でも、明らかに口数増えたのは、やっぱ佐々木さんのこと好きになってからだよ。そういや好きになったきっかけ、アイツから聞いた? 佐々木さんがノートの端に描いた須藤の絵が面白すぎるって」
「……絵?」
すぐには意味が分からなくて首を傾げる。でも、須藤先生をイラスト化するのにはまっていた時期はあった気がする。
特徴ありすぎるんだもん、あの先生。
それで、彼が英語の教科担当だからって、ハト胸って、英語でなんていうんだろうなーってぼんやり考えていたら、これいいじゃんって思えるのが思い浮かんで。
「「アイアムピジョンハート」」
私が声に出したのと同時に、山野くんも全く同じ言葉を発して、お互いに目を見合わせた。
(なんで山野くん知ってるんだろう……っていうか、それより。我ながら意味わかんない英語すぎる……!)

