「持田くん……そんなに、いつも私のことを見てたんですか?」
「ああ。あれじゃすぐに気持ちがばれてしまうだろうと、他人事ながらいつも心配していたんだ」
苦笑しながら語った須藤先生だけど、過去のルカの想いを知ることは私を切なくさせる。
けれど同時に、もっと知りたい。時間が戻せない代わりに、生前のルカのことを知っている人たちに、彼のいろんなことを教えてもらいたいという強い気持ちが湧く。
「きみのことを心配してしまうのも、持田のことがあるからかもしれん。持田が幸せにしてやりたかったであろうきみの将来を、明るいものにしてやりたい。無意識にそう思っているのかもな。……しかし悪かったな、急に変な話をして」
「いえ……」
「まあとにかく、私は味方だ。いつでも相談に乗るから」
*
須藤先生との話を終えて部屋を出ると、廊下の壁にもたれて山野くんが立っていた。
私の姿をみつけると近づいてきて、今私が出てきた扉をちらっと見ると、心配そうに聞いてくる。
「須藤に呼び出されてたから、なんか気になってさ……説教されてたの?」
「うーん。まあ、そんな感じ。でも、思ったよりは短かったよ。ルカのことも聞けたし」
「持田のこと?」
「……そうだ。よかったら、山野くんにも、聞いていいかな。生きているときのルカのこと。普段どんな話をしたとか、学校では、どんな風だったかとか……」