「持田くん……そんなに、いつも私のことを見てたんですか?」

「ああ。あれじゃすぐに気持ちがばれてしまうだろうと、他人事ながらいつも心配していたんだ」


苦笑しながら語った須藤先生だけど、過去のルカの想いを知ることは私を切なくさせる。

けれど同時に、もっと知りたい。時間が戻せない代わりに、生前のルカのことを知っている人たちに、彼のいろんなことを教えてもらいたいという強い気持ちが湧く。


「きみのことを心配してしまうのも、持田のことがあるからかもしれん。持田が幸せにしてやりたかったであろうきみの将来を、明るいものにしてやりたい。無意識にそう思っているのかもな。……しかし悪かったな、急に変な話をして」

「いえ……」

「まあとにかく、私は味方だ。いつでも相談に乗るから」







須藤先生との話を終えて部屋を出ると、廊下の壁にもたれて山野くんが立っていた。

私の姿をみつけると近づいてきて、今私が出てきた扉をちらっと見ると、心配そうに聞いてくる。


「須藤に呼び出されてたから、なんか気になってさ……説教されてたの?」

「うーん。まあ、そんな感じ。でも、思ったよりは短かったよ。ルカのことも聞けたし」

「持田のこと?」

「……そうだ。よかったら、山野くんにも、聞いていいかな。生きているときのルカのこと。普段どんな話をしたとか、学校では、どんな風だったかとか……」