「せーのっ」


楽しそうにな彼らの掛け声とともに、ドン、と勢いよく背中を押された葉村くんがこちらに倒れこんできた。


「わ……っ」


私は正面から葉村くんとぶつかり、尻餅をついてしまった。


「いたた……」


顔をしかめながら顔を上げると、ちょうど扉が閉められてしまうところで、私の顔からさっと血の気が引いていく。


「ま、待って……」


即座に立ち上がって扉に駆け寄るも、外から鍵を回される無機質な音がして、私がドアノブをつかんだ時には押しても引いてもそこがが開くことはなかった。


（どうしよう……閉じ込められた）


泣きそうになりながら、ちらっと後ろを振り返る。

葉村くんは膝を抱えて床にうずくまっていて、私と話す気なんてこれっぽっちもなさそうだ。


（でも、二人でここから出る方法、探さないと……。それに、彼と向き合うことから逃げ続けるのはやめたいって思ってるんでしょ？）


ゆっくりと彼のもとに歩み寄り、向かい合うようにしてしゃがむ。


いつも後ろから見つめるばかりで何もできなかった自分を、卒業しよう――。


そう決心して、私は口を開いた。