(死んでる俺……じゃあルカはやっぱり……)
ルカがあまりにもサラッと言うから、危うく聞き流しそうだったけれど、本人が言うからには、それが真実なんだろう。
それを理解したうえで改めてルカの存在を思うと、心に暗い影が落ちる。
(それに、死んでしまってからのほうが毎日が充実しているだなんて……なんだか、悲しい気がするのは私だけ……?)
持田遥くんという名だった、生きているときのルカのことを今更知りたくなるけれど、そんなことをしたら余計に悲しくなってしまう気がする。
急に元気をなくして俯いた私をルカはじっと見ていて、それから少し残念そうに、隣の山野くんに声をかけていた。
「……山野。久々の再会だからお前とももっとゆっくり話してたいんだけど、キナコと二人にしてもらえるかな」
「いいけど……俺もまた、お前に会えるのか?」
「うん。雪がったり積もったりしてれば、たぶん」
やっぱりルカと雪とは深い関係があるみたいだ。雪があれば会える。なければ会えない。
じゃあ……春が来たらどうなるの? 雪が解けて水になって、白かった景色なんて忘れるくらいに、色とりどりの花が咲く季節になったら、ルカは、いったいどこへ行くの――?
二人のやり取りを聞きながらそんなことを考えていると、山野くんはカバンを持って立ち上がる。
「わかった、じゃあな。話済んだら佐々木さんのことちゃんと家まで送ってけよ。まぁ普通に考えたら、お前こそまさに恐怖の悲鳴を上げられる存在なのかもしんねーけど」
「あはは、うん。了解」

