いつまでも不思議そうな私の手を取り、つまりさ、とルカが言う。

そうして、自分の左胸にその手を導いて――――トクン、トクンと規則正しく鳴る心臓の音を、私に確かめさせた。

これ、って……。

なんで……? 感じる。確かな鼓動を。

ルカはもう、生きているはずがないのに――。


「どう、して……」

「ん? 天国が、定員オーバーだったから」

「ふ、ふざけないでよ……!」


握りこぶしでコツンとにルカの肩をたたくと、ルカがその腕を緩くつかんで穏やかな笑みを浮かべる。


「実はふざけてないんだなこれが。俺やキョウさんみたいな幽霊たちのいた世界が閉じられてしまったことで、天国に行く魂の数が急激にと増えたらしくてさ。こんな数は処理できない――って頭抱えた神様が、死んでからあまり時間が経っていない、素行の良かった者の魂だけを、蘇らせてくれたんだ」


……そんな、漫画みたいなこと、本当にあるとは思えない。

でも、ルカはここにいる。私のそばで、生きている。

それだけは、現実みたい。

この状況を理解するにはまだ時間がかかりそうだけど、今はただ……一秒でも長く、ルカを見つめていたい。