ルカは悪くない。私も、誰も、悪くない……。

私は、幽霊のルカに恋をしたんだから。

だから……住む世界が違うあなたとは、お別れするしかないんだよね。


ルカの胸から少し離れて、ぐしゃぐしゃの泣き顔で、彼を見上げた。



「好、き……」



もっと、綺麗な顔をして。スラスラと、伝えるはずだったのに。

泣きながら伝えたその二文字は、ルカの耳にはきっと濁音交じりに聞こえたんじゃないかって思うくらい、ぼろぼろの告白。


「ルカが、好き……だい、すき……っ」


言い終わる前に、再びルカの手に引き寄せられて、強く強く抱きしめられた。

涙腺はとっくに壊れていて、子どものように泣きじゃくりながら、ルカの背中をしっかりとつかむ。


これは夢じゃない。

あなたがここにいたこと、私は絶対に忘れない。

忘れないよ……ルカ。



「……ありがとう、キナコ。あ……最後くらい、ちゃんと呼ぼうかな」



目と鼻の頭を赤くしたルカが、鼻をすすって、ふっと笑う。

私の唇を親指で優しくなぞって、それから出会ってから今までの間で一番、甘い声で囁いた。



「俺も、好きだよ……菜子」