「ルカ……?」


目の届く範囲の中に、彼の姿が見当たらない。

同じ場所から、ほとんど同時に落ちてきたはずなのに……雪の上にいたのは、私と葉村くんだけ。

どうしていないんだろう。自分の世界に帰っただけ?

だとしても、ひとことくらい言ってくれないと、わからないじゃない。

私、まだルカに伝えていないことがあるのに――。



「ルカ……もしかして、僕の身代わりに?」



そのとき、静けさを破ったのは、葉村くんだ。

身代わり……? 

だって、私たちが助かったんだから、ルカだって、同じように助かることができたはずでしょ?

自分にそう言い聞かせつつ、私の胸は急に不安でいっぱいになっていく。

いつかはお別れしなきゃならないっていうのはわかってた。

でも、こんなに突然のことじゃ、受け入れられないよ。

ここには、雪だってあるじゃない。

ねえ、ルカ……いるんでしょ?

いつもみたいに“キナコ”って、私を呼んでよ。



「出てきてよ、ルカ――――っ!!」




私は気が付くと、力いっぱい、空に向けて叫んでいた。