理解してからもう一度注意深く彼の姿をじっと眺めると、仕草や話し方も確かに“ルカ”のものだった。


「それから……好きな女の子の名前は、佐々木菜子」


ふと、急に真剣味を帯びた声が耳に入る。葉村くんの姿をしたルカが、一歩私に近づく。



「キナコは……いま、俺のこと、どう思ってるの?」



そして、私の頬にそっと手のひらを添えた。

その手は葉村くんのもので……でも、動かしているのはルカの意思。

心が、頭が、混乱する。

本当なら、今日、私はルカに伝えようと思っていた。

私もおんなじ気持ち……あなたが好きだよって。

だけど、まさか別人の姿で目の前に現れるとは思っていなかったから、気が動転してなかなかそのことを言葉にできない。

それに……私、ひとつ気になることがある。


「ねえ、ルカ……。ルカの姿になった葉村くんは、どうなるの……?」


私の知っているルカは、いつでも会えるわけじゃない。幽霊である彼に会えるのは、雪が地上に存在するときだけだ。

……でも、葉村くんは“生きている人”。その条件はどうなるんだろう。


きちんと説明してほしいのに、ルカはパッと視線をそらして気まずそうに唇を噛んだ。


(なんでそんな顔をするの? 私に言えないことなの?)


「ルカ……?」

「……アイツは。葉村は……死にたがっていたから……」