不思議そうな顔をされても、みどりと付き合うとか考えただけでも恐ろしい。

俊彦はひいひいと笑い、肩を震わせている。


そもそも、俺がこの町に来てまだ一週間もしていないというのに。


「まだとかじゃなくて。そんな予定は全然ないし」

「あれか、最近流行りの予定は未定ってやつか!」

「はあ?」


何故か得意げに笑うけど、こいつの思考には付いていけない。

しかも、多分、その言葉の使い方間違ってるし。


「でも柊、みどちゃんのこと好きなんだろー?」

「なんでそうなる」

「だってみどちゃんの話ばっかり聞くしー」

「ないないないない、それはない!」

「えー……」


俊彦は堪えられないとでもいうように、腹を抱えて店から出ていった。


「ただのクラスメイトだっつの!」

「面白くなーい」

「知るか!」


気付けば肩で息をしていた。

それだけ叫んだということだろう。



「でも、これから好きになる可能性はあるだろーよー」

「絶対ない!」


不満そうな顔をする父親に、再び叫んで、居間に駆け込んだ。





ああ、喉と頭が痛い。