壁の出っ張りを伝い、うまいこと非常階段まで到達することができた。 金属の階段を、音を立てないようにゆっくり進んでいく。 降りきって、腰くらいの高さの柵を乗り越えて、着いたのは駐車場だった。 まだうろ覚えの地図を頼りに、私は中庭を目指した。 今夜は満月だった。 中庭に着くと、ちょうどベンチのそばに明かりもあった。 月明かりと電気の明かり。 それだけでも十分明るい。