*・*・* 『夕凪ちゃんが、夕凪ちゃんが、目を覚ましたの!』 『え、本当ですか!?』 『本当よ! 早く来てちょうだい!』 高瀬さんに急かされて私たちは病室まで走った。 今日は廊下を走っても、高瀬さんが怒ることはなかった。 むしろ早く早くと急かしている。 できる限り全力で走って、巳影くんが乱暴に開けた病室の扉の向こうでは、夕凪ちゃんと日向くんが抱き合っていた。