「こう……」

 輝夜は座った目をしながら、シーツの端をむんずと掴んだ。

「――しますっ!!」

 声と同時に、シーツを力いっぱい引っ張った。

「お? わ、バカ! やめっ……」

 情けない声とともに、矢上はベッドから転がり落ちた。
 どずんという盛大な音とともに

「いってえええー!」

 野太い悲鳴が上がった。

「目が覚めた?」

「――……おかげさんで。ったく乱暴な」

 寝癖でぼさぼさの頭をかきながら、矢上は上半身を起こした。

「乱暴な奥さんは嫌い?」

「バーカ。嫌いなわけねぇだろ」

 二人の薬指にはまった金のリングが、朝陽にキラキラときらめていた。








 ―――― Happily ever after