「千里の気のせいだって!」



「幸い、楓はすぐ寝たから聞いてないけど」



「だから泣いてないって!」



「そっか、私の気のせいなら良かった。
何かあったら何でも言うんだよ?
後悔だけはしないようにね」



「千里……?」



いつもと違う話し方だから違和感を覚える。


何故か不安になってしまった。



「真緒は今どこかにいるの。
私が小学1年の時に転校しちゃった。
引っ越し先は知らないからずっと会えないままなの」



いきなり千里は真緒くん(でいいのかな)のことを話し始める。それで千里の凄さを改めて知れた。




えっ……じゃあ、千里10年以上も……?



「しかも離れてからようやく気づいたの。私すっごく後悔した。もう会えないもん。
でも音羽すぐ近くにいるじゃん。
だから、私みたいに後悔だけはしないでよ絶対に!」



千里は寂しそうにだけど明るそうに、いつものように笑った。