その沈黙を破ったのは千里だった。
「だって昨日でも言ったけどさ、顔に書いてあったよ」
「だから違うって」
"顔に書いてある"って言われると何にも言い返せないな。
よくわかんないけど。
だけど意地でも千里に言わない。
「また嘘だね。なんとなく分かるんだ。
私の勘はこう見えてちょっとだけ鋭いよ」
まじか。千里に嘘は難しいな。
「相手もなんとなく分かるんだ……綾瀬、
でしょ? 違うなら言って」
本当に鋭いなおい。それでも私は粘る。
「違うよ。好きな人もいない」
「そうしたらそのまま楓頑張っちゃうけど。
……それでもいいの?」
「いいに決まってんじゃん! 千里ったく、
私が和樹のこと友達の他になんともないよ?」
「じゃあ、なんで泣いたの?」



