小さな約束




見出しにそう書かれていた。



「留学? どうして……?」



「音羽ちゃんのピアノは世界に出すべきだと思ってた時に、ここの……オーストリアの高校から良ければって」



先生の話を聞くとオーストリアの高校だとおっしゃった。



「オーストリアって……確か、"音楽の都"のウィーンがあるところですよね」



「ええ、音羽ちゃんは"音楽の都"のウィーンに留学を勧められたの。ここ、結構有名よ」



「けど、いきなり……」



「音羽ちゃんのピアノはすごいわ。さっきも言った通り、世界に出すべきだと思う。留学はいずれにしてもいい経験になるのは変わらない。だけど、強制じゃないわ」



「いつまでに決めたらいいですか?」



「音羽ちゃんの学校が夏休み始まるまでよ。まだ5月……とはいってもそろそろ6月だけど、まだ時間はあるわ。ゆっくり考えて頂戴ね。だけど自分の意思でしっかり決めて。それだけお願い」



「わかりました」




パンフレットを持って教室から出る前、



「音羽ちゃん、お母さんのことは大丈夫よ。なんだって大事な娘。音羽ちゃんが決めたことなんだから」



「ありがとうございます」




先生なりの気遣いだろうか。



けど、素直に嬉しかった。