「音羽ちゃんのこと好きなの?」 母ちゃんの言葉が脳裏によぎる。 いや、まさか、な……。 いや、だって俺には楓がいるのに。 そう自分に言い聞かせても、目の前にいる音羽のことを意識してしまう。 俺は新たに芽吹く想いを気づかないフリをしたんだ。 「和樹……顔真っ赤」 音羽は信じられないと言うように、目を疑う。 「そういう音羽こそ赤かったぞ?」 図星だからか、おさまったのにまた、かあぁーと赤くなった。 音羽は近くにある時計を見て青ざめた。