「許すことなんてこれからもない。
けど、俺を育ててくれてありがとう」



母ちゃんはぽろっと涙がこぼれ落ちた。




「音羽、母ちゃんになんて言ったんだ?」



母ちゃんが泣き止み、音羽について話す。



「音羽ちゃんはね、引き取ったんなら責任持って大事にしろ! って怒られたわ」



「そうだったんだ……」



ごもっともなご意見ありがとうだわ。



「それに音羽ちゃんの恋も応援したいしね。
音羽ちゃんの一途なところみちゃうと尚更。
私音羽ちゃんなら任せられると思ってる」



まただ。なんでみんな音羽の好きなやつ知ってんだよ……。



「音羽ちゃんって可愛くて魅力があって、ほんともったいなさすぎよ」


「一体誰のこと言ってるんだ?」


「……バカなの? 鈍感?」



母ちゃんは眼を見開いて、驚いてる。



「じゃあ、1つ聞く。音羽の好きなやつって俺の知ってる人?」


「さあね、自分できいたらどうですか?
私からも質問だけど、音羽ちゃんのこと好きなの?」




はっ? 俺が音羽のことが好き?


ってかなんで音羽の名前を出す?


死んでもない。


でも、これからどうなっちまうのかわからない。



楓の時も突然だったし。もしかしたらまた誰かを好きになるかもしれない。