一体音羽は母ちゃんになんて言ったんだ?
さっきの会話で俺の顔見たくもないって言った母ちゃんがこんなに変わるなんてよっぽどすごかったんだな。
「和樹聞いてほしいの。私が和樹を軽蔑した理由っていうか、言い訳だけど」
俺は覚悟して頷き、母ちゃんが口を開いた。
「あなたは私の本当の子供じゃないの」
「……え?」
突然のことで頭が真っ白になる。
「友也は本当の子供だけれど。和樹は私の親友の子供なの。ご両親はあなたが物心つく前に交通事故で亡くなった。……そのことを言うのは和樹が大人になったらって決めたけど、話すね」
本当の家族はもういない。
つまり……天涯孤独。
「和樹を友也の弟として、私の息子として育てることに決めたの。友也があなたを庇って事故で亡くなった時から、私はあなたを恨んだ。今まで軽蔑した」
……。わからなくもない。
自分の子供が親友とはいえ、赤の他人の子供を庇って死ぬんだから。
「とはいえ、和樹はちゃんと安全確認しなかったけど、非はないことぐらい分かる。
けど、やめられなかった」
おいおい。
音羽の母ちゃんと似てる事情だな。



