「ずっと片想いしてる相手がいるから」
はっ?
音羽好きなやついんの?
「ちなみに、誰なの?」
「言えるわけないじゃん。泉はこう見えてめっちゃ分かり易いよ。頑張って探しな」
「音羽素直じゃねーじゃん。ムズい!
わかるわけねーだろ!!」
「……はぁ」
「なんでため息すんだよ?」
「和樹がバカすぎるから」
「チッ……ムカつくお前」
音羽が好きな人を想って浮かべる笑顔を想像するけど、嫌だった。
けど、音羽も前俺にしてくれたみたいに協力しよーかな。……協力したくない。
「おーい! 朝練始めるぞ!」
「「はいっ!!」」
部長のかけ声に応えて、グラウンドを走り回った。
ひさしぶりの朝練は想像以上にハードだった。



